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〔本感想〕 エレファントトーク 藤崎ほつま

◆ なぜか妹のスマートフォンとして「余生」を送ることになった四条ミカツグ。ひとつのジャンルにしばられず、読者を惹きこむアイディアが詰まった作品。

 変身もののさきがけ・ザムザさんほどの衝撃はありませんが、死んだ主人公が妹のスマートフォンになるという設定だけでもう、序盤は確実に読まされてしまいますね。
 設定だけ聞くと不条理コメディかと思われるかもしれません。しかし死ぬ直前など一部の記憶をぽっかり失っているミカツグの意識に沿うかたちで、状況が丁寧に描写されていくので、こんなにとんでもない設定でも、早い段階でなじんでくる不思議な作品です。

 その不可思議な状況ではじめに直面するのは、うまく高校に溶け込めていない妹マリエの様子や、彼女の友人をめぐる金銭トラブルなどです。それらがやがて、ミカツグの生前の友人たちを巻き込みながら、きなくさいほうへと展開していきます。

 肌身離されずでいながら、電源を落とされたり、物理的に取り残されたりすると何もできないスマートフォンのミカツグ。そして、友人やその兄などを介して社会の危険な一面にふれるのは高校生のマリエ。
 どちらも、とにかくもろくて危なっかしい。なにか現実的な危険が迫ると、普通の小説よりも余計にやきもきするはめになる。

 そんな状況で何かと手助けしてくれるのが、ミカツグの親友だった相澤トモヤ。緊迫した状況もありながら、彼や他の関係者がマリエとやりとりしている様子を見ると、死者がつなぐ縁や生と死の境のあいまいさに勝手に思いをはせてしまいますね。家族や友人に愛された故人をしのぶ、ごく個人的な会合に立ち会っているような気分にさせられます。

 人間の可聴域や可視光線は限られています。次元は4次元どころか10や11次元まで想定されているとか。とらえられる現実の域外にはいったい何があって、物語はそれをどう扱うことができるのか。
 興味がわいたらぜひ楽しんでみてください。


(欄外)
タイトルにもなっている、象のコミュニケーションについて書かれたウェブサイト。
象の長距離コミュニケーション
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