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〔本感想〕 11人いる! 萩尾望都

◆ 男子とも女子ともいえない未分化なヒロイン(?)の魅力が炸裂する、閉鎖空間SF漫画。

 書評サイトの掲示板テーマ:本が好き! 漫画同好会Yasuhiroさんが名前を挙げられていた萩原望都の作品。

 数十年前の漫画ともなるとさすがに今の感覚に合わない表現感覚があり、些細な違和感は頑張って無視して読むのがだいたいのパターンです。ただ、萩尾さんの作品は(まだ2作読んだだけですが)現代漫画を読みなれていてもほとんど違和感なく受け入れられます。

 1970年代に描かれたこのSF作品は、難関大学入学試験の最終段階、各星系から集まった少年たちがひとつの宇宙船に乗り込み53日間を無事に過ごすことを目標にする、というストーリーになっています。
 少年と一口に言っても、少年時代は性的に未分化ですごす種族、体が石のようにかたい種族、辺境惑星の王族、地球の末裔など、彼らの背負っている背景は多種多様。そこへ加えて彼らは「10人で無事に過ごせ」という課題の船に乗り込んでみたらなぜか「11人いる!」わけで、誰が余分な人間なのか最初から疑心暗鬼のさなかにあります。ふとした場面での駆け引きや、1冊で使ってしまうにはもったいないと思える肉付き豊かな登場人物たちの軽妙なやり取りに惹きこまれます。

 続編も収録されていて、最初の話の出来から期待して読んだのですが、こちらは王族のゴタゴタがメインの話になっていました。やっぱり最初の話の、SF閉鎖空間での「11人」の描かれ方が素晴らしかっただけに、「11人」から焦点がぶれたぶんだけ、ややおもしろさが落ちてしまったような印象があります。

 それでもこの作品の評価が損なわれるわけではなく、性未分化な男の子(ヒロイン?)の魅力も手伝って、たった1冊の漫画とは思えないほど、作品世界にひたって読むことができました。
 性未分化の状態については、巻末に付属の、中島らもが寄せた作品解説エッセイ『美少年とは何者か』もおもしろい。男子ばかりの高校に通っていた中島らもが、クラスの美少年がからかわれたりしたことや、自分自身が親友に対して抱いた性未分化な感情について語っていたりするんですよね。その当時の想い出を素直にしたためた文章で、なんだかとても素敵なんです。
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