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〔本感想〕 イギリス東インド会社 軍隊・官僚・総督 浜渦哲雄

◆ 株式会社がなぜインドを統治していたのか? 1600年に特許状を得てから、インドの大反乱(第一次独立戦争)が致命傷となり1874年に解散するまで。

 いまの株式会社に親しんでいる身からすれば、株式会社が独自に宣戦を布告する権限を持ち、政府に植民地統治を委任されている状態というのは、まったく想像しにくいものでした。これまであまり上手く理解できていたとは言えません。
 しかしこの本はそんな状態の人間が読んでもわかりやすくまとまっています。イギリスの文献や政府報告書に直接あたって、250年にわたるインド支配の、東インド会社から見た視点一本にしぼって書いてあるからでしょう。

 イギリス東インド会社は初め、政府の後援を受けた組織ではありませんでした。オランダ東インド会社に大きく後れを取っており、より権益の大きな市場からはじき出され、仕方なくインドを拠点に据えた商人たちによる組織でした。
 当然、インドの支配など、夢にも思っていなかったでしょう。それが、時を経るうちに、商館を守るため要塞化し、現地の傭兵を使って武装していきます。ムガル帝国のある諸侯との折り合いが悪くなり、関係が悪化すると、やがて戦いに。勝利を収めると、徐々に権勢が拡大していきます。

 激しい議論が行われる株主総会があり、株式の高配当があり、数多くの女性投資家もいる。輸出入の貿易に従事する、多国籍企業。日本では江戸時代初期~中期にかけての17~18世紀、すでにこんな形式が成立していたことは本当に驚きます。
 各地を諸侯(藩王)が統治していた国が崩壊していく過程は、各地を藩主が治めていた日本とだぶって見えます。慶喜が江戸へ逃げ帰ったことによって、クーデターが偶然短期間で済んだからよかったものの……。幕末の動乱でまかり間違えばインドのような植民地になっていてもおかしくなかったということが、今までより強く実感できました。歴史というのはおそろしいですね。

 視点がぶれてしまうため第一次世界大戦・第二次世界大戦の話にはあまり触れられていませんが、この本を読む限り、インドをイギリス東インド会社が支配していなければ、だいぶ歴史が変わっていそうですね。
 あらためて世界地図を見てみると、本当に世界のど真ん中です。パキスタンをはさんでイラン、アフガニスタンをはさんでロシア、ネパールをはさんで中国、海をはさんでUAE、サウジアラビア、カタール、イラク……。インドで何かあったら、世界がぐちゃぐちゃになりますね。そんなところを支配していたわけだから、イギリス帝国ここにありという感じだったんでしょうね。

 ある時期まで、イギリス政府による介入を許さず、独立性を保っていたイギリス東インド会社。彼らによるインド支配がなければ世界史はどうなっていたんだろうか。会社軍を藩王軍が撃退していたら、ムガル帝国が挙国一致で抵抗できていたら……。
 そんなもしもを考えたくなってしまう、波乱の歴史を知れる一冊です。
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