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〔本感想〕 皇帝のかぎ煙草入れ【新訳版】 ジョン・ディクスン・カー

◆ 状況証拠がそろった状態から、殺人犯に仕立てられた人間を救い出すことはできるのか。

 夫ネッドの浮気が原因で離婚したあと、近くに住むトビイと親しくなり、ついには婚約したイヴ。
 けれどある夜、婚約者トビイの父が撲殺されます。おり悪くその夜は、まだイヴとの復縁をあきらめきれないネッドが、合鍵を使って部屋に侵入していたところでした。
 恐怖と不安に押しつぶされ声を出せずにいたイヴは、結果的に、「寝室に前夫とともにあった女」です。それを、世間やトビイはどう思うか? 事実を隠すため嘘をついたイヴは、他の要因も重なり、唯一無二の容疑者として警察に目をつけられてしまいます。

 訳は流暢でよどみがない。殺人犯だと誤解されているのは、騙されやすく素直に人を信じてしまうお人好し。読者はイヴがネッドに脅される場面で彼女の庇護者の視点をうえつけられます。探偵役のキンロスも癖のない人物で、さあ早くイヴの無実を証明しましょう、と簡単に話に入り込める舞台設定になっています。

 人の機微や心理をうまくついた論理展開に、著者自ら読者を迷宮に追い立てるまねはしない情報提示、当時の別荘地ならではのトリック、誤解がひも解けていく瞬間に得られる安堵感。殺されたサー・モーリスには申し訳ないですが、さわやかな読後感の約束された作品です。
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