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〔本感想〕 アウトニア王国奮戦記 でたまか 問答無用編 鷹見一幸

アウトニア王国奮戦記 でたまか 問答無用篇<でたまか> (角川スニーカー文庫)

◆ こんなにおもしろいライトSFなのに、知名度が……。

 人間が宇宙に居住空間を広げてしばらくたち、マガザン帝国と神聖ローデス連合が争う世界。
 マガザン帝国士官学校における卒業前の模擬戦で、あまたの妨害にもめげず王族に連なる名門貴族をボコボコにしてしまった主人公、マイド。
 勝利の喜びにわいたプロローグの次のページの一行目、
『そして……僕の人生は終わった。』
 卒業先に向かうことになった任官先は僻地も僻地、帝国とローデス連合が戦火を交える最前線にされてしまいました。もちろんマイドに負けた名門貴族たちの横槍です。

 しかし、「流刑地」のはずのアウトニア王国はこのうえなく平和で、明るくお人好しなメイ王女に、家族のように接してくれる王に王妃がいました。そんな王宮には警備も不要、民も活気に満ち溢れている。
 激戦地ですぐに戦死させられるものだと予想していたのに、どういうことだと戸惑うマイド。

 実は帝国もローデス連合の目も届きにくいこの僻地では、150年もの間、戦争が起きていながら、平和でした。帝国と連合の争いに巻き込まれ、悲惨な戦争の繰り返しを強要されてはたまらないと、150年間、ローデス辺境軍とアウトニア王国は出来レースを行っていたんです。
 
 さまざまな仕掛けを使って、お互いの軍が、本国に「本当の戦争をやっている」と見せかける。とにかくこの、両大国をペテンにかける仕組みがわかっていく流れが本当に楽しめます。小国同士の知恵で150年もの平和を実現した、最高のペテンです。
 今この世界でも、国境線などの緊張地帯で、このように国の命令をうまくかわす「ペテン」を実現させる方法がないものだろうかと考えてしまいます。まあ、監視の目の行き届きにくい宇宙の辺境だから、成り立つものなんでしょうね……。

 平和な「模擬戦」が終わり、マイドたちはまた、日常に戻っていく。そんな流れを予想していたのですが、しかし、マイドが事前に調べ、聞いていた話と、今回の戦役は何か様子が違う。
 アウトニアと信頼関係を結んでいたローデス辺境軍が、これまでになかったような、怪しげな動きを見せていて……。募る不安に押しつぶされそうになりながら、マイドは有事に備えた「シナリオ書き換え」の準備をして、戦場へ向かいます。

 この巻はとにかく、殺し合いを避ける知恵が見どころでした。
 タイトルの「でたまか」は、マイドが士官学校時代に得意としていた臨機応変な戦術運用がもとになっていて、「出たとこ任せ」の略。愛すべき王族を、平穏を国是としてきた辺境国家を守るために、マイドがどう「でたまか」戦術を駆使してしていくのか、次巻以降を読むのが楽しみです。
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