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〔本感想〕 巨匠の日本画〈10〉速水御舟

巨匠の日本画〈10〉速水御舟

◆ 絵に疎い自分でも、問答無用でひきつけられる作品たち!

 先週の火曜日、好きなニュース番組(ニュースザップ)で、美術史に詳しいミュージシャン・グローバーさんがおすすめしていた速水御舟。
 画集なんていうものをほとんど手に取ったことのない私ですが、彼の紹介と御舟の絵の雰囲気にすっかり魅せられて、いてもたってもいられずに借りてきました。
 『炎舞』! 『炎舞』です。ざらついた絹の布地に描かれた、煌々と夜闇にひかる炎のまわりに、集まってくる蛾、蛾、蛾。これは代表作のひとつとのことですが、テレビの画面越しに見ても本当にきれいで、一目ぼれしました。
 (炎舞などの画像がある山種美術館の公式ページ)

 この画集を開いてまず飛び込んでくるのは、花びら舞う夜の桜を雲に隠れた小さな月がひっそり見守る『春の宵』。同系統の題材を扱った作品に『夜の梅』『夜の雪』とあるのですが、白と黒とのコントラストがとてもきれいに映えていて、その濃淡の美しさに目を奪われます。
 その次のページは、2ページぶち抜きの特大見開きで、生命力あふれる『名樹散椿』。きめ細かくゆきとどいた細部にそぐわぬ、どこか異様な立ち姿。
 第1章のタイトルは「生命の花」です。これ以降も、いろとりどりなのにどこか暗さをまとった花や木々が目の奥にやってきます。

 『天仙花』の花にくっついているせみのぬけがら、せみと格闘するどこか間の抜けた顔のカマキリ『闘虫』、第2章は「蟲の世界」。精緻な静物画をまとめた3章は「静かなる生命」。

 4章「水の変様」は特に好きで、先ほど名前だけふれた『夜の雪』から始まります。
 雪や雨の表現ひとつをとっても、どこか独特でひきつけられる。
 質量を感じさせずそれなのにちゃんと雪だとわかるぼんやりした白い光がさらさらさらさらと降り積もった『暮雪』。本当に絵の中で降っているような雨、雨宿りをする雀がかわいらしい『芍薬図』。
 村の川岸からの視点『潮来所見』では、陽の光がうっすらと放射状に降り注ぎ、おだやかな水面や、奥に見える黒鳥や人、背の低い草々までが美しくそめあげられています。

 5章、「人のかたち・人のこころ」で紹介されているのは、浮き上がってくるような女の姿と犬の四角い目玉がなんだか怖い『花の傍』、何とも言えない顔をしたはにわをうすい赤銅色で映しとった『供身像』など。

 美術館に行くこともないくせに「印刷物で見ても仕方ないかなあ」なんて生意気なことを思っていましたが、借りてよかったと思える大満足の一冊でした。
 渋谷にある山種美術館では、現在、これらの作品の多くが展示されているだろう『速水御舟の全貌―日本画の破壊と創造―』展が開催されているようです。東京近郊の方、興味がわきましたらぜひどうぞ。
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