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〔本感想〕 凶笑面 蓮丈那智フィールドファイル1 北森鴻

凶笑面―蓮丈那智フィールドファイル〈1〉 (新潮文庫)

◆ 民俗学の助教授と助手が、調査の先々で殺人事件に遭遇し、民俗学の知識をもとに解決していく異色のミステリ。

 この作品の特色は、基本通りに配置された探偵役と助手役が、民俗学的な研究調査に赴いた先々で事件に巻き込まれるというところ。どの短編も、資料にあたって史実や学説を盛り込みながら書かれていて、表紙やあらすじから感じられたまがまがしさは、本文中にはほとんどありませんでした。

 殺人事件である必要性が薄い話もあるのですが、それでも毎回きっちり人は死にます。結果として、読者も助手役の内藤君も、人が死んだというのに大した衝撃も受けず、民俗学や宗教にまつわる不思議のほうが気になってしまう、ちょっと変なミステリですね。

 長編を一作書けてしまいそうな情報量を短編に詰め込みながら、知識がなくてもさらさらと読み進ませる文章の上手さと、女性教授の蓮杖那智とその助手・内藤三國の恋愛色皆無の掛け合いで、面白さを引き立てます。

 鬼が祖霊? だいだらぼっちが製鉄集団? 聖徳太子がイエス・キリスト?
 さまざまな推測や仮説がひっきりなしに飛び出し、答えが確定しにくい民俗学の魅力が存分に伝わってくる小説になっています。発行は2002年となっているので、柳田國男や宮本常一ではなく北森鴻を読んで民俗学者を志したという若手研究者が、どこかにいるかもしれませんね。
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