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〔本感想〕 難民探偵 西尾維新

難民探偵 (講談社文庫)

◆ 西尾維新に対する苦手意識を薄めてくれた作品


 読書記録によれば7年半くらい前に『クビキリサイクル』を読んで以来の挑戦。
 いつ奇人が出てきても大丈夫なように心構えをしていたのですが、意外にも普通の推理小説でした。『クビキリサイクル』が奇人の登場する小説だとするなら、これは変人未満の人たちが登場するくらいで、読みやすく仕上がっています。

 普通の推理小説と言っても、どんでん返しやあざやかな解決編があるわけではありません。被疑者=犯人だった時代から、被疑者=犯人とは限らないという、時代の移り変わりに沿った話ですね。死刑判決を受けた死刑囚の再審が開始されている社会背景が前提になっています。

 決めつけない推理は地味で感情を揺さぶるものがないので、小説そのものの評価で言うなら凡作ということになるでしょうが……。犯人を断罪するでもなく、事件後、「自分が出した結論は本当に正しかったのか」「無実の人間を裁判にかけさせてしまったのではないか」と悩む探偵役の根深の姿勢が好きでしたね。答え合わせができない中で、間違いかもしれない中で、とりあえず結論を出してやっていくしかない。就職に失敗し、紆余曲折あって根深を手伝っている主人公のこれからともリンクしていました。
 それだけにもったいないというか、二人のそれぞれ抱えているものがもっと掘り下げられていれば、多くの方に響く小説になっていたのではないでしょうか。

 あまりキャラクターが前面に出ていない表紙もそうですが、この本の狙っている層は「西尾維新を一度読み、苦手意識をもった人」かもしれません。リアリティを重視した小説も書けるところを読者に示す。こういうこともできるけど、あえてこの作風で売っているんだよとわかってもらったうえで、もう一度足を踏み入れてもらおうと。

 西尾さんの作品を読むにあたって、どうせなら奇人が大暴れするようなものを味わいたかったですが、奇人が出てきたら出てきたで、さらなる苦手意識が加わるだけだったと思うので、読者なんて勝手なものですね(笑)。
 次に読むとしたら何を読もうかなと、西尾維新が読書の選択肢に再び戻ってきた作品でした。
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