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〔雑記〕 創作物の売り買いの話題が沸騰しやすいのはどうしてなんだろう

このあいだ作家の有川浩さんを取材した記事がネットにアップされました。

作家・有川浩が提言「新刊本を買う意味」

このなかで有川さんがもっとも言いたかったことはおそらく「新刊本を買う意味」のこの一文で、
「新刊書店で読者さんが本を買ってくださることが、まだ見ぬ未来の作家や本に繋がるのです」
ここが曲解されて、他のサイトでは「新刊本を買えと作家が言った」「図書館で借りることを否定した」というような、なんだかよくわからない盛り上がり方を一部でしていたようです。

この変な盛り上がり方は何も珍しい事ではなく、目当ての漫画はなるべく出た週に買ってくださいとお願いした漫画家が叩かれ、CDを買ってくれと言ったアーティストが叩かれ、ゲームを新品で買ってくれと言ったゲーム制作サイドが叩かれ、アニメのDVDを買ってくれと言った製作者が叩かれ、映画館に足を運ぼうと言った人が叩かれ……。
とりあえず創作物関連の話では、「コンテンツの対価に金を払ってくれ」が叩かれやすいワードになっている印象があります。

けれど、世の中のだいたいのモノは作った会社の誰かが営業をして売っているのに、どうしてこういったジャンルだけ金の話が禁句のようになっているんでしょうか。今回のことでいえば、作家に「新刊を買うことが後進の育成につながります」と発信することすら許されないって言うのはよくわからないですよね。別に、「興味なくても買え」と命令されたわけではないので、普通に考えればまったく何の苛立ちも起こらない言葉だと思います。
ところが、現実では違う。本の売り上げの話やCDの売り上げの話などになると、なぜか騒がしくなってくる。どうしてなんだろう、と。


自分ではよくわからないので、似たようなことから考えようと思っていろいろ考えていると、寄付の話と似ているかもしれない、と思いました。
明日をも知れぬ貧しい子どもたちの映像が流れて、ユニセフに寄付してください、と言われたときのあの感じ。

自分はこの子供を助けるべきなのに寄付をしないひどいやつだ……。そんな気持ちがどこかにあって、でも現実には行動を起こさない自分がいる。そのジレンマを解消しようとする心の働きが起きて「自分にそんな余裕はない」「子供をだしにつかって同情を引くようなことはやめてくれ」「余計なものを見せないでくれ」と、動かない自分を正当化する言葉が出てくる。

これは一方通行のテレビCMで、接する距離感も遠いものですが、双方向のコミュニケーションが可能なネットでも、常に誰かが何かを発信しています。
何かをしてほしいと言っている人がいて、でも自分にできることがない、何かをしてほしいと言っている人が目に入る、やっぱり自分にできることがない。その繰り返しだったら、相手に欠点を見つけて怒らないと自分のなかの何かがズタズタにされてしまいそうです。

そこまで考えて、何かを求める声に対していちいち突っかかっていく人は、何かを求める声に応えない・応えられない自分からくる苛立ち、を持ってるかもしれないと気づきました。だとすれば、そもそも初めから応えるつもりがない人より、反応をする人のほうが優しさをもっているのかもしれない。もちろん、すべての声に応えてあげる人が一番ではあるんでしょうけど……。

応えられる能力があるのに応えない自分なのか、応えたいのに応える能力のない自分なのか、見分けるのは難しいですが、どちらもどこかに「応えないことはよくないことだ」という認識がある。そしてすでに「よくないことだ」と思っている人に対して、「よくないことですよ」なんて言ったら反感を買うだけですよね。

有川さんの提言のあと、同じく小説家の石田衣良さんがツイッターでハッシュタグを作った『#月1回本屋さんで2冊文庫本を買う運動』は、バッシングを受けていないようです。


「月1回、文庫本2冊」は、多くの方にとって実現可能な数字であり、「出版業界を買い支える」なんて到底達成できないような漠然とした目標ではありません。背景にあるのは同じく「本への入り口のひとつ(本屋)や、後進の作家の活躍する機会を潰したくない」という問題意識ですが、この場合は問題意識がただ前提としてあり、「問題」としては押し出されておらず、あまり苛立つポイントがないのではないでしょうか。

今後こういう提言をするときは、問題点を過剰に押し出さないような言葉選び、漠然とした話ではなく受け手側が実現できるかできないかを検討できる、具体性をもった提言をするのが大事なのかもしれないですね。
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