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〔本感想〕 人は放射線になぜ弱いか 第3版 近藤宗平

人は放射線になぜ弱いか 第3版―少しの放射線は心配無用 (ブルーバックス)

◆ 「微量放射線有毒説」と「放射線閾値説」。一見対立している二つの説が、二重の根拠になっている?


 古本で見つけたので、読んでみました。1998年に出版された第3版。チェルノブイリの11年後なので、データが集まりきっていないところ、知見が古いところがあるかもしれません。

 放射線が人体にどのような影響を及ぼすのかを考察した本です。生物の身体で放射線に弱い場所と放射線に弱くなるタイミング、放射線による傷が増幅されていく様子などがひとつひとつ解説されています。
 他にも、がんの発生する要因や、アポトーシス(自壊細胞)の存在など、生命活動とはどういうことなのかまで手広くカバー。放射線の影響を知るには、まず健康な体というものがどういう状態なのかを把握しなければいけない、というわけですね。著者の主張に納得できない方でも、この部分は興味深く読めるのではないでしょうか。

 著者は、広島の原子爆弾が投下された際、現地調査に入った経験があるそうです。
 その悲惨さを知っているため、どんなに少量の放射線でも毒だ、とする「微量放射線有毒説」を長年支持していました。しかし1998年当時の著者は「放射線閾(しきい)値説」を支持しています。これは、被ばく線量が増加すればするほどリスクが高まるのではなく、一定の線量以上でリスクが高まり、その数値以下ならば、被ばくで受けた傷はあまり問題にならないという立場です。

 しかし多くの科学者が支持しているのは「微量放射線有毒説」です。手抜きのネット検索で申し訳ないのですが、たとえばドイツの放射線防護の研究者フォイアハーケ博士は「放射線閾値説」を真っ向から否定しています。

 科学者でも扱いに差が出る微妙な問題を、一市民にすぎない自分がどうこう言えるとは思いませんが……。
 注目したいのは、「放射線閾値説」が、低線量被爆は問題ないと主張していることです。そして現在は「放射線閾値説」よりも厳しい「微量放射線有毒説」が世界の主流です。おそらく日本はその状況に沿って基準をもうけています。
 つまりその基準を満たす限り、「放射線閾値説」と「微量放射線有毒説」という二重の根拠に守られていることになります。
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