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〔本感想〕 選択の科学 シーナ・アイエンガー

選択の科学

◆ 選択肢を制限されることが、必ずしも悪いこととは限らない


 心理学の様々な研究をもとに「選択」の意味を探ったコロンビア大学での講義が、本の形にまとめられたものです。
 選択に関する基本的な話に始まり、いかに人間が誤った選択肢を選びやすいかや、選択肢が増えすぎた場合の弊害などにも触れられています。

 特に興味を惹かれたのが増えすぎた選択肢の話でした。なかでも一番わかりやすかった例はやはり、著者の行ったジャムの研究でしょうか。これは、ジャムの販売員になりすまして、店の出入り口でジャムを試食させてクーポン券を渡し、実際にどの程度の人がジャムコーナーまで足を運んで購入するのかを確かめた調査です。24種類のジャムを試食させたところ、購入したのはたった3%だったのに対して、6種類のジャムを試食させたところ、30%が購入したそうです。

 選択肢を制限されるということは、可能性を閉ざされること。そのようなとらえかたが多数派の中で、ジャムの実験は「自由に反する」「権威主義、ナチズム、共産主義の信奉者」などとバッシングも受けたとか。
 けれど選択肢の数を制限することも、場合によっては、人権を侵害するどころかむしろ選択者の不利益を避けることにつながります。

選択肢の制限にも時にはメリットがある
 事例のひとつを本書の中から選ぶと、出産直後の急病などによって絶対に助からないと判断された子供に関わるものがあります。延命するか、治療を停止するかの決断を迫られた両親が「医師にきちんと説明されたうえで治療停止を勧められた」というかたちをとって選択した場合であれば、負担が比較的少ないという結果が出たそうです。

 また、本書に挙げられた事例ではありませんが、昨日のニュースザップという番組で、がんの末期患者にしか使用の許されていなかった劇薬・フェンタニルの話に触れられていました。中毒性も高く危険なその薬物が、規制緩和によって選択権を得た人々のあいだに広がってしまい、中毒患者を増やしているそうです。

 このように、一見とても良いことに思える自由意思の尊重や規制緩和による選択肢の増加が、すべて好ましい結果をもたらすわけではありません。

本当に必要かどうか
 別の見方をすれば、選択というのは、選択肢の数、提示方法に影響を受けてしまうような、もろく危ういものと言えるかもしれません。本書を読んでいると、そのもろくあやういものに自分をゆだねなければならない難しさが嫌というほど身にしみます。
 そこを突いてか、選択をトレーニングするための別売りの実践編『選択日記』も出版されているみたいですね。本書では全八講を通じて、心理学実験の紹介が大部分を占めているので、もっと実際的な事を期待する方はそちらを一緒に買ってくださいってことなんでしょう。うまくできています。

 ただ、これで「戦略に乗せられている」と思って購入を拒絶することも、おそらく本書で紹介されていたバイアスのひとつに該当しています。他人の思惑や流行には乗りたくないとか、人と同じことはしたくないとか、そういうものをぜんぶ追いやって、そのときどきに必要か必要でないかで判断すればいいんですよね。
 他人の選択や、企業の誘導、受益者、隠し持たれた意図などが見えすぎてしまうような時代だからこそ、そのなかから冷静に必要なものを選びとる能力は、ますます必要とされていくかもしれませんね。
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