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〔本感想〕 HEARTBEAT 小路幸也

HEARTBEAT (創元推理文庫)

◆十年後、グラウンドの入り口で……。大切な約束を果たすため、三年前に失踪した女性を探すことに。


 高校時代、医師を目指していた修(おさむ)が、ふとしたきっかけで不良と呼ばれている少女・ヤオと親しくなった。ヤオは、修が自分と付き合っていてはだめになるという思いがあり、高校生の修に、ヤオを泥沼から引き上げる力はなかった。

 やがて自然と離れていったふたりは、ある約束をした。十年後、ヤオが人生を立て直すことが出来ていたら、一億円を渡す、と。
 けれど約束の日、「三年前に失踪した」というヤオのかわりに現れたのは、ヤオの夫を名乗る人物だった。

 長い間ニューヨークにいた修は、同窓生の事情にあまり詳しくない。高校の同級生で唯一頼れると思った巡矢(めぐりや)とともに、失踪したヤオを探すことになる。
 いっぽう、かつての華族の流れをくむ屋敷のなかで、小学五年生の次期当主・裕理を巡るきなくさい騒動がもちあがり、そちらも同時に話が進んでいきます。

 修がヤオと親しくなったきっかけは何か、一億という数字はどこから出てきたのか、どうして十年前の約束を覚えていたのか、修はなぜニューヨークにいたのか、裕理はどんな騒動に巻き込まれているのか、裕理の騒動がどうつながってくるのか、巡矢がどうして修を手伝うのか……。
 小さな謎が少しずつ少しずつ解き明かされていくたびに、修やヤオや巡矢といった登場人物の内面がわかってくる。小さな謎解きをもって内面描写としてしまう著者の技術もあり、どの主要登場人物も好きになって、自然と物語に入り込むことができます。

 終わり方は「夢オチ」と同レベルですが、過程が良かったのでそこまで苦手だとは思いませんでした。
 大きな高揚感や爽快感があるというわけではありません。それでも、過去と現在が、別々の事件が、徐々につながっていくお話はやはりおもしろいですね。
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